H26 温浴施設のある道の駅をエスキスしてみた

一級建築士

初めて設計製図試験を受験される方、エスキスが苦手な方に見てほしいです。

私はエスキスはもちろん、要点記述や作図も苦手だったので、同じ状況で悩んだり苦労している方の参考になればと思い書いています。

難しいことは何一つやっていない再現性のあるエスキスになっていますので、是非最後まで見ていってください。

周辺環境整理・外構計画

↓まずは周辺環境の整理からやっていきます。

↑課題文と同じようにエスキス用紙に書きます。(書き写すときに間違えないよう注意する。)

道路は幅員はもちろん横断歩道、歩道なども気にするようにしてください。

↓次に建物に人がどうやってやって来るかをイメージします。

今回の課題は。。。

  • 道の駅で駐車場のある北側と西側からアクセス
  • 南側には道路越しに渓流があり眺望がよい
  • 東側は親水公園があり景観は良さそう
  • 勾配天井指定のため敷地内もしくは建物内に設備配置を計画

主出入口は北側もしくは西側にを想定して、車椅子使用者用駐車場を配置します。南側の道路にはサービス用駐車場を配置して利用者と管理者が交錯しないようにします。

以上、まとめヘリアキは北側6m、東側2m、南側3m、西側6mでひとまず進めます。

またレイアウトはこれからですが、周辺環境を踏まえると、1階は駐車場のある北側と西側にメインの室を向け、2階は渓流の眺望がある南側に向けるのが第一候補、親水公園のある東側へ向けるのが第二候補として頭に入れておきます。

面積・高さ検討

次は面積関係をチェックします。

↑建築面積が課題文の条件の範囲内かどうか確認します。

面積的には今の計画のまま進められれば問題なさそうなので次は高さ関係の検討へに進みます。

今回も都市計画区域及び準都市計画区域以外と書いてあるので道路斜線は検討しなくて大丈夫です。

チビコマに入る前にスパン数のパターン出しと、2階建てのゾーニングイメージを書いておきます。

  • 情報・休憩部門は24時間利用できる
  • 吹抜けを適切な場所へ設ける
  • 温浴部門は眺望・自然採光・自然通風に配慮する
  • レストランは眺望に配慮する
  • 屋外テラスはレストランと一体的に利用(1階 or 2階)

レストランは管理型ゾーニングするのであれば1階に配置したいが、眺望に配慮を強調する場合は2階に配置することも考えられるため、今のところは決め打ちせずに1階と2階のパターンを出して検討することとします。

チビコマ・スパン割

それではチビコマに入っていきます。

↑パターンA

24時間利用する休憩・情報部門は1階西側に配置、東側は地域特産品売場と関連する仕分け室、中央は共用管理部門で構成します。
眺望がある2階にレストランと温浴部門を配置、レストランは西側にすることで店舗・料飲部門をまとめる計画としました。
X方向6スパンある中で、2スパンずつスパッと縦にきれいにゾーニングできました。

ただし管理コア(ブルーマーカー)の位置が難しそうなので、自分の実力ではプランしずらいことを頭に入れておきます。

↑パターンB

24時間利用の休憩・情報部門を東側に、地域特産品売場を西側に、中央を共用管理部門で構成し、パターンAと反転させます。
こうすると2階は温浴部門が東側へくるので、パターンAの駐車場側よりパターンBの親水公園側のほうがプライバシーを確保できそうです。
ただレストランは眺望がとれる理由で南側へ伸びてきてしまうので少し型がくずれてしまいます。。。

↑パターンC

X方向を7スパンにして再度調整していきます。
パターンAとパターンBの良いところをまとめていきます。

1階は西側に休憩・情報部門として、駐車場からのアクセスしやすい位置とします。
東側は店舗料飲部門として北東側に地域特産品売場とすることで駐車場へ向けて集客性を高め、南東側にレストランとすることで眺望に配慮します。
2階は東側へ温浴部門を配置することでプライバシー、自然採光、眺望と色々確保できそうです。

吹抜けは中央のエントランスホールか地域特産品売場のどちらかになる可能性が高いですが、今回はエントランスホール中央に計画して、勾配天井の高さを活かしたプランでいこうと決断します。

倍コマ・スパン調整

↓まずはチビコマで決めたように室数を確保していきます。

1階は西側に情報・休憩部門、東側に店舗料飲部門、中央に共用部、南側を管理ゾーンを配置しました。
主出入口は北側から計画し、通用口は南側からとします。
外部から利用したい防災備蓄倉庫は南西の角にとりあえず入れてみました。

2階は東側に温浴部門、中央に吹抜け回廊廊下、西側は共用・管理部門で計画します。
南側は1階同様管理関係の室を想定します。
今回も勾配天井なので、設備スペースとして西側で検討中です。

面積指定のある室と吹抜けに関係するスパンを調整していきます。

今回は

  • 地域特産品売場 200㎡
  • 吹抜け 80㎡以上
  • 防災備蓄倉庫 50㎡
  • 仕分け室 50㎡

なので決められるところから柱ピッチを決めていきます。

地域特産品売場とレストランの間に廊下を設け、面積を調整していきます。今回は地域特産品売場側に廊下をつくると≒200㎡になるのでここを通します。

休憩情報スペースとトイレの間に通路をつくれば、西側からのアクセスも良さそうなので、このあたりにも廊下をつくります。

全体がまとまってきたところで、再度面積を計算します。X方向は7mが2か所で44m、Y方向は7m×4スパンで28mとなり、建蔽率、各階床面積共に納まりました。

1/400エスキス

↓最後エスキスにしてまとめていきます。

↑作図の配置と合わせるように書きましょう。これをミスすると作図時に混乱したり不整合になりやすくなるので注意です。(左上:2階、左下:1階、右上:伏せ図、右下:断面)

1階は敷地範囲を書き、各階柱芯を書いていきます。

↓まずは倍コマと同じように部屋を下書きします。

↓次には外構から書いていきます。続いて階段、エレベーター、吹抜け、部屋と書いていきます。

車いす駐車場は北側に、サービス用駐車場は南側にして動線が交錯しないようにしています。
北西の休憩・情報部門の外側に屋外休憩スペースにしてまとめています。
レストラン南側には一体的利用指定の屋外テラス、そして渓流の眺望がとれる配置としました。

室配置は倍コマで配置したまま進めていき、細かな部屋は1/400で微調整していきます。

1階南東の角は店舗料飲部門が管理ゾーンとうまくつながらなかったので店舗料飲部門専用の荷解き室を任意で設け、搬出入に配慮しました。

2階北東の角の設備関係は温浴部門で使用するボイラーやろ過機を置きたいのですが、ここの管理ゾーンから離れてしまっています。。。そこで北側に搬出入用のバルコニーを設け維持更新に配慮しました。共用部から再度管理廊下をつくり日常点検もできるようにしています。

↓断面も書きながら検討していきます。

二段梁屋根とすることでハイサイドライトからの採光と勾配天井の天井高さで明るく開放的な空間を目指します。

南側の軒先は建築面積に余裕があれば伸ばします。
夏は日射遮蔽でき、冬は日照をとれます。
2階の西側の設備スペースは屋外機やキュービクルを置きたいので、屋根はかけません。

チェックしながら床面積などを再計算していきます。

完成

↓最終的にこうなりました。

廊下を通し要求室をしっかりとグリットの中に納めることで、シンプルなプランになりました。

これなら記述も書きやすいはず。。。

  • 休憩・情報部門の計画・・・北西側に配置し駐車場からアクセスしやすい
  • レストラン・・・店舗料飲部門でまとめ、南の渓流の眺望がある
  • 温浴部門・・・プライバシーが確保でき、東の親水公園の眺望がある
  • 勾配屋根を活かした空間・・・吹抜けと回廊廊下、ハイサイドライトで明るく開放的な空間

普段のエスキスから、あまり小さいことにこだわらずに、大枠間違ってなければOKという精神でドンドン進めるのが重要です。
完成度が低くても時間内にまとまるようにしていきましょう。

そして見直しで改善点が見つかれば、室を入替えたり調整することで、より良いプランにしていきましょう。

(私はチビコマのあたりでは大まかなゾーニングやつながり条件をつくっていき、スパン数を決めます。
倍コマでは面積調整を含むスパン調整をします。
1/400エスキスでは細かな部屋の配置、作図前の微調整や要点記述を書いた後の修正などを行っています。)

タイトルとURLをコピーしました