今回は作図手順について書いてみようと思います。
毎回課題で書忘れや書き間違いによるミスや不整合を起こしてしまいランクⅠ以外の評価になることが多かった経験から、いろいろ自分なりに研究してやっとたどり着いた手順を紹介していきます。
何回見直ししてもミスが減らない方や、どうゆう手順で書いたらいいか悩んでいる方は必見です。
作図はほとんどの人がスピードを気にしがちですが、私はスピードよりも正確にミスを少なくすることのほうが合格に近づけると考えています。
ミスや不整合を少なくするには、どのタイミングで何を書くのかが重要だということです。
例えば。。。
〇特を書いた後に吹抜けを追加して、竪穴区画、面積区画ができていないとか。。。
〇特書き終わった後にピロティ駐車場を作図したため、異種用途区画ができていないとか。。。
〇防を書いた後に、外壁側に出入口をつくってしまって〇防を書き忘れたり。。。
道路斜線を書いた後に庇を書いてしまい、セットバックが変わることにより道路斜線にかかってしまったり。。。
製図するとわかりますが、ミスは必ず起こります。
それをフォローできるよう自分に合った手順を考え10月まで常にアップデートし続けてください。
では早速みていきましょう。
全体の流れ
まずは作図手順の全体の流れです。
この手順は資格学校をベースに自分で手順をアレンジしたものとなっています。
例えば面積表を書く前に、関連する庇やバルコニー、吹抜け等を書いておくことで、不整合が起きにくくなるようにしています。
面積表を書き忘れて一発アウトにならないよう先に書くもの大事なのですが、私は書く手順のつながり条件を整理することでスムーズに書けるようになりました。
自分に合った手順を探していきましょう。
赤い字は目安の時間です。作図は早ければ早いほど有利に見えますが、私は合格するための作図は3時間程度は必要と考えています。無理に2時間以内で書くというよりは、確実に3時間以内でノーミスで書き終えた方が合格が近いと考えています。
↑一応図面配置は上記になります。
補助線→寸法線→柱
※補助線は時間短縮のためにひかない人もいます。それはそれで良いと思います。
私は壁の下書きに補助線が役に立つタイプだったので、書くようにしていました。
まずは補助線を引くためにポイントを出していきます。X方向は用紙中央あたりに書き図面上部と下部の分をまとめて書くようにしています。
補助線を書く時のポイントは寸法線の1マス、2マス部分と同時に仕上げるように書くと時間短縮になります。
X方向は平行定規を使って2平面同時に一気に書きましょう。Y方向は縦を一発で書ける定規を使って上から下、下から上へと手の動きが最小限となるように書いていきましょう。断面の切断方向によっては断面図の補助線もまとめて書けるので是非工夫してみてください。
寸法線がタテならタテ、ヨコならヨコで一気に書いていきます。
続いて柱を書いていきます。先程書いた補助線の交点に柱のポイント書いてきます。
無柱空間となる柱を書かない部分には×印を
無柱空間のプレストレストコンクリート梁を支持する柱はサイズアップさせるため〇印を
先行して書いておくことで、不整合を起こさないようにします。
柱は平行定規をロックしテンプレートをスライドさせていきます。慣れてきたらテンプレートだけで書けるようになります。(平行定規を動かさないため時間短縮になります。)
カカカカッと音で覚えましょう。リズムよく一定の速度で書けるよう練習しましょう。柱は太線なので濃く書いてください。
700角の柱は3.5のマスで、800角の柱は4のマスで書き分けます。
無柱部分に勢いで柱を書かないよう注意しましょう。
雲母未来テンプレートを使用している方は用紙外側の柱を書くときはそれぞれ左右にあるマスを利用すると書きやすくなるのでおススメです。
壁下書き
1/400エスキスを確認しながら壁位置を下書きしてきます。
各階壁の位置を順番に書いていきます。
壁が書き終わったら、出入口を書いていきます。コア等は壁と同時に書いておくと時間短縮になります。
吹抜けや光庭などの開口部を書いていきます。開口部は床の無い部分は一点鎖線で、天井がない部分は点線で表現します。ここは下書きでなく、仕上げてしまえば時間短縮になります。
窓になる部分にはサッシの帆立を入れましょう。
エスキス用紙を見る時間をなるべく短くして、プランを頭に入れながら書かないと時間がかかってしまいます。
パッとエスキス用紙をみてレイアウトが頭に入るよう普段から訓練しておきましょう。
壁 外壁→内壁
基本的にはどこから書いてもいいですが、最初はわかりやすい外周から書いていきます。
壁はシャープペンシルを立ててゴリっと太く濃く書いていきます。
窓はガラス部分は太線で、外枠は細線で書き分けます。(細線は書かなければ時間短縮になります。)
タテ、ヨコどちらが先でもかまいません。書きやすいほうで進めていきます。
手の動きがなるべく最小限となるように書いていくと時間短縮になります。
階段・EV・庇・バルコニー
続いて断面と面積表にかかわる部分を書いていきます。
階段は中間階から書くとわかりやすいです。
塔屋まで行く階段は中間階仕様で書きましょう。
塔屋まで行かなければ最上階仕様、1階は避難階仕様で書き分けます。(基本1階が避難階となる場合が多い)
エレベーターは籠の大きさに注意します。
利用者用は1.4×1.9、管理用は1.1×1.4となりカウンターウェイトタイプを基本とします。
重量用のエレベーターは油圧式になるのでプランジャーを書き分けるようにします。
庇は上下階でセットで書いていきます。
例えば1階の主出入口の上部庇を書いたら2階の庇を書きます。
庇で不整合になりがちな方は是非セットで書いてみてください。
吹抜けの手摺り、もしくは窓を書いていきます。
手摺りは壁より細く書いてください。この時に吹抜け階段なども要求されれば書いておきます。
また天井高さの高い2層分の高さになる室も書いていきます。
無柱空間の場合は上階にプレストレストコンクリート梁を破線で書きましょう。
断面図
まずは断面切断位置から書いていきます。(写真を撮り忘れたので、右下は断面書き終わってますが気にしないでください)
まずは補助線を書いていきます。
階高のスラブ線、梁位置のタテの補助線を引いていきます。
薄く室の配置を下書きするとわかりやすいと思います。
室の下書きができたら小梁を書いていきます。
続いて大梁の下端を書きます。
プレストレストコンクリート梁がどちらに架かっているか注意して書きましょう。
基礎梁・スラブを一気に書いていきます。
梁の縦線を書いていきます。
最上階はついでにパラペットも書いてしまいましょう。
続けて窓や壁を書いていきます。
天井線を書いていきます。
天井高さの指定がある場合は、確実に確保して書きましょう。
続けて寸法線を書いていきます。
屋上に塔屋がある場合はまとめて書いてしまいましょう。
断面図を書く前に書いておきたいこと
- 壁
- 庇(道路斜線に影響)
- バルコニー(道路斜線に影響)
- 吹抜け
- 光庭
- 2層分の要求室(梁や特定天井)
ここまでで1時間くらいで書けるようになると後半が楽になってきます。比較的前半は練習すれば時間短縮しやすいと思うのでたくさん練習してみてください。
文字 寸法→面積表→室名(面積)
私は文字が書きやすくなるので、ここから製図板から剥がします。
そのまま製図版に貼ったまま書きたい人はそのまま書いて大丈夫です。
寸法の文字を一気に書いていきます。
X方向、Y方向まとめて一気に書くと時間短縮になります。
Y方向を書くときは図面を回します。
製図板に貼ったまま書く場合は横向きの字を書く練習をするとよいと思います。
寸法が入ったところで面積表を書いていきます。
小数点第一位まで書くルールですので、必ず守って書くようにしてください。
計算式を記入したら、電卓でまとめて計算して答案に書き込みます。
面積表を書く前に書いておきたいこと
- 寸法文字
- 階段(中あき階段)
- EV(通過の場合)
- 庇
- バルコニー
- 吹抜け
- 光庭
- 2層分の要求室
面積表が終わったら室名(面積)を書いていきます。
室欠落はランクⅣ案件なので、ここは少々時間がかかっても課題文を置きながらひとつずつ書くことをオススメします。
室名と室面積はセットで書くと効率がよいです。
書き終わったところから課題文を消し込んでいきましょう。
この段階でチェックも含めて行うことで万が一要求室が欠落していても、まだ時間が残っているので、何とかなります。。。
3平面書き終わったら断面にも室名を書いていきます。こうすることで不整合が起こりにくくなります。
外構
駐車場→駐輪場→主出入口→通用口→外部施設のように自分で書く手順を決めておきましょう。
駐車場は歩道がある場合は歩道の切開きもセットで書くようにしましょう。
駐車場・駐輪場は歩車分離できていないとランクⅣ案件となりますので交錯しないよう注意して書きましょう。
主出入口や通用口は庇を書くタイミングで書いてもよいですが、外構のアプローチをまとめて確認する意味でここで書くようにしています。
屋外施設を書いていきます。○○mの円、植栽、通路、什器、仕上げと書く手順を決めておきましょう。時間がかからなければ課題文を見ながら書いてもいいかもしれません。
法規
延焼ライン→防火設備→避難通路(屋内)→避難通路(屋外)のように自分で書く手順を決めておきましょう。
延焼ラインですが書く前に一呼吸入れて敷地図を見るのがポイントです。
隣地なのか道路なのか、再度確認してから作図しましょう。
延焼ラインが終わったら防火設備を書いていきます。
〇防忘れしないポイントは建物の角は2面窓にしないようにすると書忘れしにくくなります。もしくは課題文に折り返し忘れるな!!と未来に自分に警告しておき注意喚起しましょう。
竪穴区画、面積区画していきます。竪穴区画は面積区画も兼ねて特定防火設備と試験対策的に行っていきましょう。
〇特忘れしないポイントは1階から3階まで利用者階段とエレベーターをセットにして図面の中を移動しているようなイメージで書くと書忘れしにくいのでオススメです。
防火設備・特定防火設備を書く前に書いておきたいこと
- 壁・窓
- 階段
- EV
- 吹抜け
- 光庭
- 2層分の要求室
- 駐車場(異種用途区画)
- 駐輪場(異種用途区画)
- 要求室名(異種用途区画)
- 延焼ライン
避難経路を書いていきます。歩行経路でひっかかることはあまりないと思いますが、重複区間の距離はエスキスによって厳しい場合があるので注意してください。2階が店舗となる場合(カフェやレストラン)は重複区間の距離が20mとなるのでかなり厳しいです。
避難経路で先に什器を書いた方がいい場合は、避難経路にからむ要求室のみ先行してレイアウトするとよいでしょう。
敷地内通路を書いていきます。主出入口と通用口からは書くようにします。またその他避難口がある場合は、道路や防災公園へ逃げれるよう計画します。
この法規は落とすと一発ランクⅣ案件なので作図の中で一番の頑張りどころです。エナジードリンクなどでチャージして乗り切ってください。
ここまでで108分なので2時間まででここまで書ききれれば、ほぼ採点の土俵に乗ります。
内部レイアウト
室内レイアウトを書いていきます。
課題文をチェックしながらひとつひとつつぶしていきます。
什器のサイズはスケール感が大事なので寸法を正確に覚えて書けるようにしましょう。
配置もなるべく手が止まらずに書けるよう繰り返し練習することが大事です。
トイレはレイアウトを書いていない場合はかなり不合格になる確率が高いです。
バリアフリートイレは室の有効寸法、車椅子の回転スペース、引戸など書いておかないと表現できないところなのでしっかり書いていきましょう。例えば2.2m×3mを基本として電動車椅子が使えるよう1800Φの回転スペースを確保します。
チェック・補足
ある程度書き終えたら、Ⅱ要求図書を見ながらチェックしつつ進めます。
主要寸法、室名、PS、EPS、DS。。。
優先順位をつけて減点の大きいものからやっていきます。
チェックが終わったら補足を書いていきます。近年の製図試験で補足は重要です。
なぜなら試験当日に自分の計画がセオリー通りいかない部分が必ず出てきます。絶対そうゆう課題になります。なのでその部分をどうフォローできるかがポイントとなります。
また要点記述との整合性もチェックしていきましょう。自分の書いた記述で添削者に伝わりやすくなるように図面に補足説明を追加していきましょう。
どんな補足を書けば一例です
子どもが使用する室・・・日照が得られる南面へ計画
レストラン・・・景観・眺望が得られる○○面へ計画し食事が楽しめる空間
多目的ホール・・・地域住民も利用しやすいよう1階に計画
事務所・・・利用者の入退館がわかるよう全体が見渡せる位置に計画
とかでしょうか。試験元に私わかってますよアピールしましょう。
図面密度アップ
チェックが終わって時間が余っている方は図面密度を上げていきましょう。
1階の外構で利用者アプローチは1×1のタイル目地、管理者動線は2mのコンクリート目地など書き分けます。
また植栽を細かく書くのはこのあたりにしてください。植栽よりもチェックを優先することが大切です。
まとめ
ミスや不整合を少なくするには、どのタイミングで何を書くのかが重要だということがわかってもらえたと思います。
- 補助線→寸法線→柱
- 壁下書き
- 壁 外壁→内壁
- 階段・EV・庇・バルコニー
- 断面図
- 文字 寸法・面積表・室名(面積)
- 外構
- 法規
- 内部レイアウト
- チェック・補足
- 図面密度アップ