H28 子ども子育て支援センターをエスキスしてみた

一級建築士

初めて設計製図試験を受験される方、エスキスが苦手な方に見てほしいです。

私はエスキスはもちろん、要点記述や作図も苦手だったので、同じ状況で悩んだり苦労している方の参考になればと思い書いています。

難しいことは何もしていないエスキスになので、是非最後まで見て何か感じてもらえればと思います。

※見出し画像は子育て支援・交流施設「南部すくすくスクエア」さまより引用させていただきました。

子育て支援施設にカフェ併設 多世代交流の拠点となる複合施設が香川県宇多津町にオープン | 株式会社明日葉(学童・児童館事業)
~子どもたちが“すくすく”育ち、多世代にわたる地域の人々が集う広場“スクエア”を目指す「南部すくすくスクエア」~ 香川県宇多津町に4月、子育て支援・交流施設「南部すくすくスクエア」がオープンしました。同施設

周辺環境整理・外構計画・面積検討

↓まずは周辺環境の整理からやっていきます。

↑課題文と同じようにエスキス用紙に書きます。(書き写すときに間違えないよう注意する。)

道路は幅員はもちろん横断歩道、歩道なども気にするようにしてください。

↓次に周辺環境と屋外施設を整理します。

今回の課題は。。。

  • 北側と東側の2面道路(両方16m)
  • 北東の角は交差点で横断歩道あり
  • 北側道路は駅につながっている
  • 西側には小学校、南側は公園(防火上有効と見なして解きます)

以上を絵にかいて整理していきます。

まずは駐車場、駐輪場を配置していきます。2面道路を活かした計画となるように駅からの通りの北側道路に利用者駐車場を、東側にサービス駐車場を配置します。北東の角に交差点、横断歩道があるので北西側を駐車場、北東側を駐輪場で配置します。

次に屋外遊技場を配置します。隣接する公園へ直接出入りできるようにするというつながり条件があるため南側に配置、直径5mの円が入るようにするため6mとります。

次は面積関係をチェックします。
ヘリアキは北側6m、東側3m、南側6m、西側2mとなりましたので建築面積、各階床面積を算出します。
建築面積はクリア、各階床面積は概算で130オーバーしていることを頭に入れて進めます。

ここで建物の大きさを調整していても仕方がないので、ちょっと手を進めながら突破口を見つけたいと思います。

高さ検討

次は高さ関係の検討へ進みます。

今回の用途地域は第二種中高層住居専用地域と書いてあるので道路斜線勾配は1.25です。北側と東側は道路幅員が同じなのでヘリアキ3mの東側のみ計算しておきます。(16m道路で3階建てなので斜線検討省略しても良いですがルーティンを確立するためわざとやってます。)

3階建てのゾーニングイメージをまとめておきます。

  • 屋外遊技場が地上なので保育所部門が1階
  • 屋上広場が2階なので児童・子育て支援部門が2階
  • プレイルームが天井高さ6.5mで2層
  • エントランスホールから保育所玄関と受付へアクセス

基本は管理型ゾーニングとします。

プレイルームの無柱空間、空調設備、指定天井高さ等を整理していきます。

  • プレストレストコンクリート梁 1.2m
  • 専用空調想定でダクト 0.5m
  • 指定天井高さ 6.5m

以上をまとめると1階4m、2階4m、3階4.2mで想定し高さ制限問題ないことを確認します。

チビコマ・スパン割

それではチビコマに入っていきます。

ゾーニングタイプなので、まずは1階から進めていきます。
まずはX方向6スパン×Y方向4スパンで様子見ます。
保育室関係を南側に並べてみます。遊戯場は北側でも良いのか?と思いつつ保育所部門はX方向6スパンあれば入りました。
2階はプレイルームと屋上広場を6コマずつとると、北側2スパンで残りの計画をしなければならないため2、3階のレイアウトがしずらそうです。

そこでプレイルームと屋上広場をもう少し効率良く計画しないといけないということがわかります。

柱スパン7m×8mでプレイルームをつくると4コマでいけるのでX方向6スパン、Y方向3スパンで検討してみます。要求室はいい感じで入りそうですが、屋上広場の10mの円が入りません。。。

最後にX方向7スパン×Y方向4スパンも検討します。
X方向7スパンになったことで少し余裕が出てきました。建物の形も左右対称になりバランスも良さそうです。

倍コマ・スパン調整

↓まずはチビコマで決めたように室数を確保していきます。

1階はX方向7スパンになったことで屋外遊技場への通路と保育士室などを入れることができました。管理ゾーンエリアには事務所と調理室を入れ何となくまとまりました。また管理コアを1コマ西へずらし設備スペースを確保します。
2、3階はプレイルームと屋上広場以外の部分は北西の角と南西の角にそれぞれ4室大きな部屋を配置しますが、子供が使う児童クラブ室と育児交流室を日照のある南側で計画します。

室面積を確認しながら柱スパンを確定していきます。面積の大きなプレイルーム、屋上広場から決めていき、それぞれ指定のある部屋の面積が確保できるよう調整していきます。

今回はX方向6m、Y方向6mで各室の面積が確保できそうなので、ここらで各階床面積を再計算し2500㎡以内におさまりました。

1/400エスキス

↓次にエスキスにしてまとめていきます。

↑作図の配置と合わせるように書きましょう。これをミスすると作図時に混乱したり不整合になりやすくなるので注意です。(左上:1階、左下:2階、右上:3階、右下:断面)

1階は敷地範囲を書き、各階柱芯を書いていきます。

↓まずは倍コマと同じように部屋を下書きします。

↓次に外構を書いていきます。

主出入口に合わせて車椅子使用者用駐車場の位置、通用口に合わせてサービス駐車場の位置を調整していきます。

↓次に要求室を書いていきます。

納まったように思えましたが、1/400にすると廊下がガタガタしてました。。。

廊下がまっすぐになるよう修正していきます。
1階は保育室と保育士室を入替えると廊下の形がシンプルになりそうです。2、3階は面積を気にせずに廊下通します。

完成

↓最終的にこうなりました。

廊下の通ったシンプルなプランにまとまりました。

これなら記述も書きやすいはず。。。

  • 日照・・・保育室や児童関連諸室は南側に配置
  • セキュリティー・・・保育所玄関、受付それぞれで入退館管理
  • はきかえ・・・1階ではきかえて基本上足利用
  • 自然採光・・・中央配置の光庭とトップライト
  • 自然換気・・・中央配置の光庭と南北居室
  • 柱スパン割・・・X方向6m、Y方向6mで負担面積低減

問題を解いた感想は。。。
すごく基本的な問題なのでとても良い課題だと思いました。
2面道路の考え方、スパン割り、プレストレストコンクリート梁の架け方などなど。

近年の問題のほうが高さ制限、延焼ライン、防火区画、避難通路など書かなければならない内容が多いですが、エスキスの内容は過去問から学べることがまだまだありました。年々自由度が増しているので、過去問の基本的な問題がしっかり解けるようになっているということが重要ですね。

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